「在宅ワーク」で暮らしたい

第2章営業編 「在宅ワーク」で暮らしたい

投稿日:2018年10月13日 更新日:

仕事に役立つ履歴書を作ろう

 多くの在宅ワーカーは、登録会社を通して仕事をしています。だから最初の仕事は、この登録会社へ自分を売り込むこと。また、登録会社以外での営業の際も、口であれこれ説明するより、文書化された履歴書を提出するほうが効果的です。特に初めて取引する企業には、自分の能力を正しく判断してもらいたいものですね。また、自分の能力を再確認するためにも、一度履歴書を作成することをお勧めします。
 ここでは、自分にはなにができるのか、なにが得意なのかを相手に正確に伝える、効果的な電子メールの履歴書の書き方についてお話ししていきます。

●普通の求職活動と「在宅ワーク」の売り込みは、ここが大きく違う
 紙の履歴書と、電子メールの履歴書の違い。それは、学歴・職歴から始まって、形式が全部決まっている市販の履歴書の最後にある「特技」などの自己PRの部分こそ、「在宅ワーク」ではメインということです。
 在宅ワーカー登録会社の登録方法は会社ごとに定型化されていて、通信で記入するシートをダウンロードし、順番に記入して送信すれば完了となります。でも、それでおしまいと思っていてはだめ。自分から進んでそれ以上の自己PRをして、依頼主側に判断材料を提供しなければ、なかなか仕事が発注されないようです。
 在宅ワーカーは、学齢とか職歴ではなく、なにができるのかこそが重要。なかには面接試験のある登録会社もありますが、ほとんどインターネット上でのいわば顔の見えないアプローチから始めるわけですから、積極的にアピールすることが大切なのです。

■メールだからこそ、わきまえなきゃいけないルールがある
 ある登録会社の主宰者は「仕事をしたいんですがなにかありませんかと、名前も書いていないメールがよくきます。申しわけないですが、こういうものには返信しません」と教えてくれました。
 電子メールは、その手軽さから、慣れている人ほど話し言葉そのままで、礼儀をなくしてしまったり、名前の書き忘れをしたり、とんでもないミスを犯してしまうという落とし穴があります。「初めてメールを差し上げます。○○○○と申します」から始め、続けて具体的に自分の履歴を語るのが基本中の基本です。最後に改めて名前と連絡先を記すことも忘れずに。

■まずは、経歴・職歴を詳しく書くことが大切
 さて、次に必要なのが、経歴・職歴を詳細に明記すること。「在宅ワーク」は能力こそ大切なものですが、実務経験がものを言います。とくにパソコンを使用した職歴がある人の場合、業務内容や年数も記入しましょう。また、学歴は必ずしも書く必要はありませんが、パソコンの習得に関するもの(スクール通学など)は書き加えたほうがいいでしょう。

 また、過去の実績や技能といわれても自信がないからといって記載しないのでは、アピール不足です。大げさに書くこともありませんが、過小評価になりすぎないように注意しましょう。
■マシン環境は、詳しいほどグッド
 絶対に忘れてはならない重要事項がマシン環境。パソコンは機種名を(複数ある場合は列記しましょう)、プリンタは「A3対応のレーザー」などのスペックを、また、TA(デジタル回線に使用するアダプター)やスキャナーなどの周辺機器の有無を、できるだけ詳しく伝えることが大切です。登録会社は、登録会社自体や依頼主のマシン環境との対応の確認のためにも、また、紹介する仕事内容の決定のためにも、重視する情報です。

■電子メールのみか、USBにいれるのか、納品形態を明記
 納品は電子メールのみか、添付ファイルは可能か、大容量の時は無料の宅ファイルなどのサービスやgoogleドライブなど納品に対応できるか(会社によってセキュリティ上受け取れない会社もあります)など、納品の形態もマシン環境と同じくらい大切です。また万一、相手のネットワークがダウンしてしまったときなど、USBにいれて送らなければならないときは、「直接お届けします」と、届けることが可能ならば、自分のフットワークなども付け加えてみましょう。

■1日何時間くらい仕事ができるかを知らせる
 「1日平均4時間は仕事ができます」など、具体的な稼働時間を知らせてくれる人は、意外に少ないのですが、発注から納品まで無理なくこなせるかどうかが発注側にとって依頼の基準になりますから、ぜひ確認しておきたい情報です。正確に算出して記入しましょう。

■主な使用ソフト、自分の得意分野を明確に
 あなたの技能や得意分野を直接表わすのが、具体的な使用ソフト名。ただし、この項目に限っては、あまりずらずらと列記せず「主な」「得意な」と前置きして簡潔にまとめたほうがいいでしょう。
 また「クォーク・エクスプレス、フォトショップを使用した編集制作」など、希望する職種・仕事内容を含めたワンフレーズにするとよりわかりやすくなります。

■実力をわかってもらうために、作品を提出する
 DTP、翻訳などの専門分野での職歴がある人、すでに在宅ワーカーの仕事経験がある人ならば、申し出る価値は充分にあります。相手も、あなたの実力がどのくらいなのかがわかります。
 けれど、あくまで「一度ご高覧いただきたいのですが」と希望しておくことにとどめ、返事がきたら、提出の方法(ファイル添付かUSB送付かなど)を確認したうえで送りましょう。あまりに分量が多い履歴書は、逆効果の場合もあります。

■電話で確実に連絡がとれる時間帯を明らかにしておく
 最後に「平日の午前10時から正午までと、午後4時以降は家におりますので、電話でご連絡をいただいても結構です」のひと言を。「在宅ワーク」では通信が主体ですが、連絡の手段を限定せず、時と場合に応じてもっとも適切な方法を選ぶフレキシビリティを持つことが大切です。

■文章の微妙なトーンで、あなたの人物が判断される
 電子メールの履歴書は、紙の履歴書とは異なり、記入欄を埋めるのではなく、手紙のように一連の文としてまとめるもの。無味乾燥ではない代わりに、その言い回しが即あなたの人物を示すことにもなります。在宅ワーカーも社会人。常識ある表現で、効率よくまとめて、仕事をゲットする突破口にしましょう。

■履歴書をいつ送るのか、時間帯への配慮も必要
 さて以上で完成、いよいよ送信ですが、なるべく平日の日中にしましょう。商用のメールは、急用の場合は別にして、深夜や早朝、休日には見ないものです。送り先の「仕事の時間帯」への配慮に欠けると、優れた自己PRも色あせてしまうことを忘れずに。

■履歴書を送る前にチェックすること
(1)誤字・脱字
 読み返してミスがないか確認します。誤字・脱字があるような履歴書では、それだけで不採用になることがあります。
(2)ボリュームがありすぎてもダメ
 書きたいことがありすぎて、つい文字の多い履歴書になっていませんか。必要なことは書かなければいけませんが、くどい表現にならないようにしましょう。

【Column】
名刺は必要?
 営業を積極的にやろうとする在宅ワーカーにとって名刺は必需品です。
 柄やデザインは本人の好みとしても、考えるのは肩書きやその他の事項です。個人である場合、肩書はありませんが、名刺を渡したときになにをやっているのかわからないのもあまりよくありません。
 かといって「在宅ワーク」と書いてもまだまだ認識していない人も多いでしょうから、名刺の適当な位置に「パソコンデータ入力」と書いたり裏に実績を入れてもいいでしょう。
 また、もうひとつ気になることは、住所が自宅である在宅ワーカーの場合、特に女性は、やたらに自宅の住所や電話、あるいは携帯電話が記入してある名刺を知らない人に渡さないほうがいいかもしれません。メールアドレスのみにするとか、電話番号を借りるとか、自分の身は自分で守る注意が必要です。

【図 名刺作成例】

電子メールによる履歴書の作成例

株式会社○○○○

担当者様へ

 初めてメールを差し上げます。
 在宅でDTP業務をしております、山田花子と申します。
 御社のホームページを拝見し、在宅ワーカーを募集されていることを知りました。
 ぜひ、応募したいと思います。履歴書をお送りしますので、よろしくご査収くださいませ。

―――――――― 履歴書 ―――――――

●職歴
1993年4月~ デザイン事務所、株式会社○○○○に入社。
        月刊音楽誌「×××」のレイアウトをレギュラーで担当。
        他に、商品広告、ポスターなどのレイアウトを担当。
1999年4月~ 在宅ワーカーとしてDTP業務開始、現在に至る。

※これまでに手がけた作品のデータがございます。
ぜひ、一度ご高覧を賜りたく思います。
ご希望の場合は、ご連絡くださればすぐにお送りします。

●資格
1991年 英検1級取得
1998年 DTPエキスパート認証試験合格

●ハードウエア環境
パソコン:自分の環境を書きます。所有ソフトやバージョンも記載します。
スキャナー:自分の環境を書きます。
モノクロプリンタ:自分の環境を書きます。
カラープリンタ:エプソン 自分の環境を書きます。
 ウィルス対策などにも触れましょう。

●仕事内容および主な使用ソフト
自分の環境を書きます。
平均して、1日に5時間程度の作業時間を確保できます。

●納品形態
自分の環境を書きます。
圧縮/解凍ソフトは「zip」を使用

 平日の午前10時~12時、および午後4時以降は家におりますので、電話でご連絡をいただいても結構です。
 よろしくお願いいたします。

*********************
山田花子
yamada@xxxx.xxx.ne.jp
Tel.03-XXXX-XXXX
Fax.03-XXXX-XXXX
*********************

在宅ワーカー登録会社の上手な利用法
 最近では「在宅ワーク」という言葉も頻繁に見かけるようになり、「在宅ワーク」への支援をしてくれる登録会社も増えてきました。「在宅ワーク」に関する情報を得るには、インターネットで調べるのもひとつの方法です。

●登録会社へ登録する
 ホームページ上で登録会社に登録する場合、登録会社で用意したフォーマットに必要事項を記入してメール送信することがよくあります。普通、メールは一度送信操作をすると取り消すことができないので、間違いのないよう慎重に記入しましょう。
 聞くところによると、ハイフン(‐)と長音(―)の区別がついていないだけで、失格にする担当者もいるとか……。メールは自分がきちんと書いたつもりでも、環境やソフトの違いで文字化けしたり、改行がつかなかったりと、いろいろなことが起こります。なるべく1行あたりの文字数は少なくしましょう。それから、いきなり氏名から書くのではなく、ひと言、「下記の件、よろしくお願いいたします」などと書き添えるほうがよい印象になると思います。
 わりと詳しい内容を書かなくてはいけない場合、途中を省略したりする人もいますが、それはいけません。きっちり全部回答しましょう。どうしてもわからないときは「不明です」とか、「わかりません」などと書き添えましょう。
 自分のアピールですが、書く場所が特に設けられていなかったとしても、最後に「主にエクセルでの計算処理に長い間携わっておりました。一生懸命やらせていただきますのでよろしくお願いいたします」などと短く書き添えると、印象がよくなります。ただし、「他のことを記入してはいけない」などの記載があるときは、控えましょう。
 あとは、一般的な社会常識に従って、なるべく多くの登録にチャレンジしてみましょう。

身近なところから始める営業

 いくつかの会社に登録もした、使用頻度の高いソフトも準備した、あとは仕事がくればいつでも始められるのに、「仕事がない!」。「在宅ワーク」という言葉が定着した現在、「待ちの姿勢」だけではなかなか仕事を得ることはできません。「営業力」も必要なのです。「営業なんて苦手」と思っている人も、身近なところからチャレンジしてみましょう。

●インターネットを利用
 インターネットを活用した営業で、最初に思い浮かぶのは「ホームページ」の公開ですね。私的なページをすでに公開している人は、「在宅ワーク」関連のコーナーを追加するのもひとつの方法ですが、できれば仕事用として独立したページを立ち上げてみてはどうでしょうか。屋号などを使ってよりビジネスライクなページを作成することがポイントです。ここでも業務内容や目安となる単価、今までの仕事実績、問い合わせ先などを明確に記載しましょう。
 「ホームページは持ってないし、作れない」という人は、これもチャンスと捉えてみてはどうでしょうか。ホームページ作成はCGIやJAVAなどのプログラムを使うのでなければ、ある程度のものは独学でできます。専用のソフトを購入しなくてもエディターとブラウザーさえあればよいのです。ネットにはホームページ作成を支援するサイトもたくさんありますから、やる気さえあればホームページを公開することは可能です。これでひとつスキルを身につけることができるのですから、意外な方面での受注につながるかもしれませんね。
 また、「在宅ワーク」関連のサイトの求人・求職の掲示板も積極的に利用しましょう。定期的に書き込むことでチャンスが増えてきます。メールマガジンなどで、無料で広告を掲載できるものもありますから、こちらも利用してみましょう。

●身近なクライアント
 何気なく歩いていた自宅近辺にも、営業のチャンスはたくさんあります。インターネットや電話帳を利用して、幅広く営業を行うことも大切ですが、身近なところを地道に営業することは重要です。街の印刷会社や小売店はもとより、商店会や町内会でもあなたのできることがあるかもしれません。慣れないうちはパンフレットを作成してポスティング(各戸のポストに投函)するだけでもよいのです。少し慣れてきたら、まずは「顔を覚えてもらう」ことをポイントに訪問して、パンフレットを直接手渡すことから始めてみましょう。

●タウンページの広告を利用
 大きくて重くて、ときに置き場所に困る電話帳ですが、電話帳の広告を利用するのもひとつの方法です。NTTのタウンページの広告は、
   ディスプレイ広告……広いスペースを使用してアピール
   トレードマーク広告……会社ロゴとコメントをアピール
   スーパーボールド広告……名前と電話を大きく表示してアピール
などのように、さまざまな形態を選ぶことができます。金銭的に少し余裕があるのなら活用してみてはいかがでしょうか。また、インターネットイエローページでは、インターネット版広告掲載の申し込みを実施しています。

●パンフレットを作成
 あなたができる仕事の内容をパンフレットにしてみましょう。DTP業務が得意ならば、これはチャンスです。あなたの作成したパンフレットがクライアントにとっては、あなたの力量を判断する目安となるからです。「DTPは苦手」という人もせっかくパソコンを使って仕事をしているのですから、自分なりに工夫して作成してみましょう。DTPソフトを持っていなくても、ワープロソフトやハガキ作成ソフトなどを利用してレイアウトすることは可能です。  クライアントが知りたいことは、あなたのできる業務内容だけではありません。気になるのはやはり「価格」ですね。どの程度の仕事をいくらくらいで受注できるのか、目安となる金額を掲載しておくとよいでしょう(料金設定はどうやって決める?→68ページ参照)。

【体験談】
持つべきものは友! 身近で始めた営業で成功

木原里佳さん(29歳・女性)/「在宅ワーク」歴…9ヶ月/(在宅ワーカーになるすぐ前の)職業…OL/現在の職歴…ホームページ管理、エクセル講師、文書管理

 私は、育児のために会社を退職しましたが、家事・育児以外に自分のために何かしたいと思い、「在宅ワーク」を始めました。
 始めた当初は、友人と話をするたびに、「私、『在宅ワーク』を始めたから、何か仕事があったら、教えてね」といっていました。しばらくすると、何人かの友人が、仕事の依頼や、受注先を探している会社の情報を教えてくれるようになりました。
 そのなかのある会社は、単発ではありますが、今でも仕事の依頼をしてくれます。データ入力や文書作成などが中心で、納期がけっこう厳しいのですが、ほかと比べて単価はいいみたいです。その後、チラシ作成の仕事をやらせていただき、これから新しい分野も開拓できそうです。いい会社を紹介してくれた友人に感謝!
 ほかには、友人の勤めている会社のホームページの作成のために、直接クライアントと打ち合わせをしたことが、とても勉強になりました。打ち合わせなんて初めてのことなので、すごく緊張しました。説明用の文書の作成、価格表や契約書を手探りで作成し、「本当にこれでよいのだろうか……」と、不安でしかたがありませんでした。クライアントの方も、パソコンなどにあまり詳しくなかったので、打ち合わせも大変でした。身近な個人事業主がクライアントだと、スムーズにいかないことが多いのかもしれないなぁ、と実感しました。
 「在宅ワーク」でやっていくなら、何事も経験が大切です。待ちの姿勢では、なにも始まりません。勇気を出して一歩を踏み出すと、きっと道が開けると思います。これからも、頑張ります。

【Column】
あたなはどう思う?
ある在宅ワーカーの営業体験

 DTPを得意とするAさんは、電話帳を活用して営業を行いました。まずは電話帳に掲載されている印刷会社に、片っ端から電話をかけまくったのです。 「お忙しいところ失礼いたします。私はDTP業務を在宅で行っているAと申します。
突然のお電話で恐縮ですが、一度御社を訪問して、お話をさせていただきたいのですが……」
 結果はどうだったのでしょうか。
クライアントの返答は「急に在宅でっていわれてもね、よくわからないし……」と訪問を断られることがほとんどでした。
 しかし100社に電話をかけるなかで「じゃあ、ちょっと会ってみてもいいよ」と、ついに嬉しい返答をもらうことができたのです。しかも訪問したクライアントからみごと定期の仕事をゲットすることができたのです。何もしないで、ただ仕事がくるのを待っていたのでは、Aさんは仕事を得ることはできなかったはずです。Aさんの地道で熱心な営業活動が実を結んだのです。
「1勝99敗」、この勝率をあなたはどう受け止めますか?

グループで仕事をゲット(コラボネットを作ろう)

 コラボネットとは、コラボレート=協力する、ネットワークです。1人ではなく協力し合えるネットワークを作れば、1人ではまかないきれない大量業務や、あなたが持っていないスキルを要求される業務もできます。コラボネットは個人営業以上の可能性を秘めています。

●コラボネットのメリット
   まず受注側のメリットとしては、
・大量業務の受注が可能になる
・自分にないスキルを要求される業務も受注が可能
・困ったときに助け合える
 などがあります。例えば1人5,000件の入力を受注できるとすれば、5名のグループなら単純計算で2万5000件の受注が可能なわけです。マニュアル作成のような業務では、テキスト入力はAさん、レイアウトはBさん、校正はCさん、と分担して作業を行うことができます。
 クライアント側のメリットとしても、複数の人に小分けに発注するより、一括で引き受けられるグループに発注するほうが、
・品質が統一された納品を受けられる
・責任の所在が明確である
 など、管理を省力化することができます。

●数名から数千名まで
 最初から数十名のコラボネットを作ることは、管理を考えると難しいことです。まずは5~10名ぐらいの小さなコラボネットを作り、受注が増えてきたときに、随時増やしていくのがよいでしょう。
 大切なのはどんな仕事をしたいのか、ということです。「DTPコレボネット」や「ライターコラボネット」、「ソフト開発コラボネット」といったように形態もさまざまです。
「メンバーと一緒にスキルアップしていきたい、小さな仕事からコツコツと」というのであれば、「データ入力コラボネット」がよいでしょう。「難易度の高い業務に取り組みたい」のなら、「ソフト開発コラボネット」もよいですね。現在はLinuxなどの新しいOSも登場していますし、勉強次第で高収入を得られるネットかもしれません。ただし、日々、言語などは変わりますので、勉強を怠ってはいけません。
 どのネットにもデメリットはあります。例えば「データ入力コラボネット」なら難易度の高い業務の受注は難しいですし、単価も思ったように上がりません。「DTPコラボネット」はそれぞれのソフトやハードへの投資に費用がかかるでしょうし、出力などの環境を考えると地方では少々不便かもしれません。
 あなたが代表となるには、どのような業務を受注したいのか、どのような形で運営したいのか、目的をしっかり持つことが大切です。

●コラボネットを成功させるには
■ネットメンバーを選考する
「誰でもいいからやりたい人は一緒にやりましょう」と友達感覚でメンバーを集めるのは危険です。後々、厳しいことをいわなければならない状況になったときでも、あなたの言葉を「ビジネス」として受け止められる人でなければ、長続きしないはずです。知り合いをメンバーに加えたいときは、仕事とプライベートの付き合い方をきちんと分けることを事前に伝えるべきです。最初に「履歴書」を提出してもらうなど、あなたからビジネスとしての意識づけを行うことも有効ですね。とにかく一芸に秀でてなければ仕事は受注できないので、その人のスキルに対する確認が必要です。

■方針や運営方法を明確にする
 営業活動は誰が行うのか、受注の決定権は誰にあるのか、経理は誰が行うのかなど、事前にどのように活動していくのかを文書化して提示しておきます。特に金銭面でトラブルが生じやすいので支払い日など細かい部分まで決めましょう。

■メンバーへの接し方
 優しすぎても厳しすぎてもスムーズに活動を行うことはできません。バランスよく接することが大切です。納品にミスがあれば時には厳しく注意して修正させなければなりませんが、きちんとフォローすることも必要です。まとめ役であるあなたが優柔不断な態度ではメンバーはついてきません。「YES」「NO」をはっきり伝えるようにしましょう。

■営業のポイント
 コラボネットの特徴を理解して、できることとできないことを把握しておきましょう。曖昧な返事をしてしまって、後で誰も担当できないのでは大問題です。新しい分野や、より難易度の高い業務を受注したいときは、別のコラボネットを作ったりすることが必要です。

■研修会の実施
 メンバーのスキルアップを目指すのなら、顔を合わせて話し合うことも必要です。受注した業務の状況や問題点などもメンバーに伝えることで、情報を共有化することができます。またメンバーにも積極的に発言してもらい、精神的な部分もフォローしていくようにします。どうしても遠隔地で顔を合わせられないメンバーとは、テレビ会議なども利用してはいかがでしょうか。

 コラボネットを成功させるポイントは、「代表者の力量」です。メンバーへの接し方、営業交渉力、知識力、すべてにバランスがとれていることが理想ですが、そううまくはいきません。代表者にも向いている仕事とそうでない仕事があるでしょうから、軌道に乗ってきたときには、例えば営業をサポートできるメンバーや育成を担当できる別のコラボネットを作ることを考えましょう。ひとりより複数のほうがだんぜん有利ですよ。

【体験談】
グループで仕事をする在宅ワーカーに聞きました

鈴木真奈美さん(24歳・女性)/「在宅ワーク」歴…7年/(在宅ワーカーになるすぐ前の)職業…パソコンインストラクター/現在の職種…版下作成、データ入力、ホームページ制作など

●グループで仕事を始めたきっかけは?
「以前、登録会社に登録していたとき、今でも付き合いのある知り合いが何人かできました。半年後、ある大きな仕事を受注したときに、そのメンバーで手分けして仕事をしたのがきっかけです」

●現在の仕事の内容は?
「グループでやっているから、なんでもできますよ。私が取ってきた仕事をみんなに振り分けることもあるし、グル―プの誰かが取ってきた仕事を分けてもらうこともあります」

●取ってきた仕事を振り分ける立場になったときの苦労は?
「なまじっか友人関係だから“できない”って言われてしまうことです。喋っている相手がクライアントだと“できない”とは軽く言えないですよね。でも、知り合いだからといってわりと簡単に“できない”と口に出していわれると、リーダーとしてはつらい」

●仕事を振り分けられる側としての不満は?
「仕事の仕様がはっきりしないのは困ります。それから質問のメールを出して、それに対するレスポンス(返答)が遅いのもまた困ります。返事がない間、こちらの作業は止まっているわけですから。リーダーも先方に問い合わせていたりなにかとあるのでしょうけど、少なくとも“現在、問い合わせ中”くらいの返事は欲しいです。
 それから、リーダーやメンバーといった立場に関係ないことですが、仕事は仕事としてけじめをつけてやりとりしてほしいです。友達としてのメールならいいんですけど、仕事のメールで末尾に“じゃあね”なんて書かれるのは嫌ですね。原稿をファクスするにも、送り状くらいはつけてほしいです」

●グループでやっていて、よかったことは?
「ひとりでやっているよりも、孤独を感じないことです。グチも言い合えますしね。例えば、大量の仕事を受けて深夜の3時ごろまでやっていても、同じ状況の仲間がいればグチを言いながらも、“ひとりじゃない”って思って頑張れるんです。仕事の進行状況は変わらないんですけど、気が楽になりますよ」

●グループでやっていて、よくなかったことは?
「仕事の品質を均一にするのが難しいことです。クライアントから同じ仕様書をもらっても、人それぞれ理解の仕方が違っていて、あがりをもらってみたら全角スペースの空きがすべて半角スペースの空きになっていたりとか。やり直してもらうこともありますけど、時間がないときは自分がかぶってしまうこともあります」

●この先、所属しているグループをどうしたいと思っていますか?
「最近、すごく仕事が増えてきたのでメンバーを増やさなきゃいけないかな、なんて思っています。メンバー募集といっても、正式な入会方法があるわけじゃなくて、知り合いになってみてお任せできるような人かどうかわかったら、仕事を助けてもらう、という形なんです。ただ、本当に信頼できる人なのかどうか判断するのは難しいですね。
 実は、今までわざわざ遠くの人を選んでグループを組んできたんです。近くの人だと、なにかと会う機会も出てきますよね。そうしたとき、家に来てもらうんだったらお茶も出さなくちゃいけないし、結局、ムダ話の時間が長くなったりする。だから遠方の人にしていたんです」

料金設定はどうやって決める?

 仕事の値段を決めることはとても難しいことです。景気がよければ相場も上がりますし、逆に不景気の時期は下がります。クライアントと自分の希望をよく考えて、料金設定のバランス感覚を身につけましょう。

●相場を知る
  相場を知るにはインターネットを利用しましょう。サーチエンジンで「データ入力」「相場」などの言葉を入れてデータ入力の値段が書いてあるホームページを探しましょう。ただし、あくまで参考にしかなりません。お客様が望んでいる金額とあまりにかけ離れた金額を提示しても、仕事はまとまりません。もし仕事をまとめたいと思うなら、相場にこだわる前にお客様の話をよく伺う姿勢を身につけましょう。話を聞いていると、途中でなんとなく相手の望んでいる金額がわかってくるものです。
 値上げを要請する場合も、日頃のことをまず感謝し、これくらいの金額が希望なのですがいかがでしょうか……という話し合いの姿勢を崩さないことが必要です。仕事を継続するにせよ、辞めるにせよ、人間関係は円満に運ぼうとすることが金額交渉では大事です。
 料金設定が、できたら、料金表を作成しておきましょう。仕事の受注の際に、値段交渉の話し合いはつきものですが、お客様からまず料金表を求められることもあります。下の料金表の例を参考にしてください。

【料金表作成例】
(ホームページ制作の場合)
内容 価格
101 1ページテキストのみ(日本語) 500文字ごとに1400円/枚
102 1ページテキストのみ(英語) 1000文字ごとに1800円/枚
103 テキストデータがある場合 英語・日本語ともに1000円/枚
104 タイトル画像等の比較的大きいもの 3000円/個
105 リンクボタン画像 800円/個
106 背景画像 2500~6000円
107 写真取り込みおよび貼り付け 1200円/枚
108 アニメ画像 20コマまで3000円
109 画像データがある場合 貼り付け無料
110 画像データがあるが、大きさなど変更する場合 600円/個
111 JAVA対応 4万円/枚
112 CGI対応 6万円/枚
 (左側の3桁の数字は整理番号。作成に使用したソフト…エクセル)

【Column】
登録会社の本音
~登録会社の代表者に聞きました~

●応募の際に気をつけたいことは?
Aさん「地方からコレクトコールをかけてきたり、初めから必ず仕事をもらえるという保証を求めてくる人もいます。在宅ワーカーは会社員とは違うということを理解してほしい。メールでも、ていねいな言い回しができる人は、仕事もできそうだという印象を受けます」
Bさん「雑誌などに記事が出ると100通ぐらい登録申し込みがきますが“なんでもいいから仕事をください”というような意識の低い人はまずダメです。ご主人のメールアドレスで応募してくる人も困りますね」
Cさん「待合わせ時間に遅れてくるような人は論外。逆に“30分早く着いたので来ちゃいました”という人には約束の時間に来てください、と帰ってもらいます」

●求められるスキルは?
Bさん「『在宅ワーク』をするなら、はっきり言ってパソコンができるのは当たり前。常に求められているのはパソコン+αのできる人、つまり一芸に秀でている人です。例えば、情報を取るのがうまくて、かつスキルのある人は強みですね。もちろん、ミスしないきめの細かさ、気配りなどはかなり大切な要素です」

Cさん「イベントを企画するのが好きとか、○○には詳しいとか、その人ならではの付加価値がスキルを判断する材料になりますね」

Aさん「在宅ワーカーとして上級者を目指すなら、ソフトを揃えていることも条件になるでしょう。そのためには、ある程度の先行投資も必要。投資すれば、それだけ回収しようという意欲も湧いてくるものです。例えば、これからはウィンドウズ系DTPの需要が増えてきそうな成り行き。これからエントリーする人なら、狙い目かもしれませんね。また、業界の動向にも目を光らせる、先見性のある人が求められるでしょう。いつの時代にも、人のできないことをできる人が強いのは当たり前。資格そのものはあまり関係ありません。緻密さと人間性のほうが、よほど大きなポイントになります。」

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