「在宅ワーク」で暮らしたい

第5章トラブル編 「在宅ワーク」で暮らしたい

投稿日:2018年10月13日 更新日:

未入金を防ぐには

 インターネットを利用した在宅ビジネスを始める場合、あなたがその仕事の報酬を確実に受け取れるのかどうか、不安に感じることも多いのではないでしょうか? ここでは、未入金を防ぐためにあなたが注意すべきことを、受注前と納品後の2つのポイントでお話ししていきます。

●仕事を受注する前に確認すること
 インターネットを利用した在宅ビジネスを始めるときや、受注したことのない会社から仕事を受ける場合、あなたの仕事の成果に対して報酬が支払われるのか、いちばん心配なところではないでしょうか。仕事を受注する前に、少なくとも次の事項は事前に確認しておくほうがよいでしょう。

 ■報酬金額
 一般的に業務依頼や募集の際に、1件○円、1枚○円と単価が明示されるケースが多いのですが、不明確な場合は、受注する前に確認すべきです。また、単価が記載されている文書を保存しておけば、後々、問題があったときにこちらから提示できますね。

 ■報酬の支払い方法・支払い日
 振込であるのか、現金受取りであるのか、あなたの報酬の受取り方法を確認しましょう。また、支払い日も重要です。月末締め翌月末支払い・納品完了日から1週間後など、発注元企業によってさまざまなので、事前に確認しましょう。曖昧な場合は「要注意」です!

 ■経費の請求
 業務中に使用した消耗品などは経費として請求できるのでしょうか? 例えば、納品時に使用したUSBメモリ代などが経費として認められ、請求できる場合もあります。電子メールを多用する仕事の場合、通信費などの扱いも確認しておくのがベストでしょう。請求できると思っていたのに、終わってから支払いを受けられないのでは困りますね。あまりにもあなたが負担しなければならない経費が多く発生する業務で、請求が認められない場合は、「受注しない」などの判断も必要です。

●業務完了・納品後に確認すること
 業務が完了したら、あとは決められた報酬を確実に受け取らなければなりません。どんな点に注意したらよいのでしょうか。

 ■受取り確認
 報酬が口座振込みの場合、振込み日に入金を確認しましょう。あなたが請求した金額どおりに振り込まれていますか? 振り込みがなければ、速やかに連絡をとり、状況を確認しなければなりません。現金で受け取る場合には、期日に受取り先に出向くケースが多くなります。なんらかの都合で受け取りに行けない場合には、連絡をとって、いつなら受け取りに行けるのかを明確に伝えましょう。

●発注確認書などの作成
 契約書を取り交わさない場合でも、「発注確認書」や「ご注文書」、「支払い日確認書」などを作成することで、後々、起こりうるトラブルを未然に防ぐことができます。
 発注確認書を作成する場合は、業務の内容や単価、納期、報酬の支払い方法、支払い日などを明確にしておきます。同じ書面を依頼側とあなたがそれぞれ持つことで内容が確認でき、金銭的なことでなかなか聞きづらいことも文書化することができますね。打ち合わせのときなどに持参して、記入してもらってもいいでしょう(111ページ参照)。

支払日など確認のお願い
___________御中
平成11年3月31日
東京都文京区本駒込6-13-12-403
株式会社オフィスM
FAX:03-5395-6991
いつもお世話になっております。お仕事をいただきまして感謝しております。
さて、弊社の経理システム改善のため、表記の件につきましてお尋ねします。お手数ながら貴社の請求書締め日および支払日について、下記にご記入の上、 ★[本 111ページまで]
FAXにてご回答くださいますようお願いいたします。
貴社名
経理ご担当者名
1) 請求書締め日は、毎月何日ですか。(該当日に○印をつけてください)
月末 15日
5日 20日
10日 25日
上記以外( __日です)
2) 支払日は、締め日から見て何月何日ですか。(該当に○印をつけてください)
当月払い
翌月払い
翌々月払い
月末 15日
5日 20日
10日 25日
上記以外( __日です)
(株)オフィスM FAX:03-5395-6991
悪質な業者にひっかかったときは

 ここでは、最近急増するインターネットを利用した悪質なビジネスを例に、「在宅ワーク」を始める前に注意しなければならないことや、トラブルになったときの対処方法をお話ししていきます。
●急増するトラブル
 インターネットは管理者が存在せず誰もが自由にアクセスでき、また誰もが規制や審査を受けずに情報を発信することができるのが特徴ともいえます。しかし、この特徴を悪用したビジネスが少なくありません。インターネットの普及とともに、トラブルも急増しているようです。
「SOHO」「サイドビジネス」「代理店」「アルバイト」「在宅」などの言葉を使った、求人広告を目にする機会も多いのではないでしょうか。それらの求人の中には、「応募して面接に行ったら、商品を購入することを勧められた」
「メールでサイドビジネスを勧めるような仕事だった」
「何人紹介したら紹介料を得られるという仕事だった」
というように、マルチ商法やねずみ講といった法律に触れる業務内容もあるようです。多種多様の求人案内を読み、応募する際には、充分その内容を理解する必要がありますね。

●トラブルを未然に防ぐために
 インターネットの情報はどこからも規制を受けないために、その情報の信憑性には充分注意する必要があります。インターネットだからといって、必ず有益な情報が得られるわけではないのです。その逆に、規制を受けない情報の中には、あなたにとって不利益な情報も多く含まれていることを認識しておくべきです。どういったビジネスで、どうすることで収入が得られるのかなど、報酬金額などに踊らされず、ビジネスの内容に着目しましょう。不審な点があれば、事前によく説明を聞くなり、信頼できるところへ相談するなりしてから、始める必要がありそうです。例えば、「ねずみ講」は加入するだけで法に触れ、勧誘すると処罰の対象になります。少しでも不審な点があれば、参加しないことです。
 業務内容が安全であると判断できた場合、次に報酬の支払いについて確認するようにしましょう。報酬金額(単価など)や支払い方法、支払い日などを仕事を始める前に確認します。少しでも曖昧な点があれば、無理に参加する必要はありません。信頼できる企業なのか、安全な業務内容なのか、報酬の支払いは間違いなく受けられるのか、など冷静な目で判断する必要があります。

●悪質な業者にひっかかってしまったら
 充分注意していたにもかかわらず、悪質な業者にひっかかってしまうことも考えられます。
 トラブルになってしまったときには、消費生活センターに早めに相談することです。消費生活センターは全国各地にありますので、あなたの地元のセンターに相談するといいでしょう。
 また、消費生活センターの中にはホームページを公開しているところもあります。国民生活センターのホームページ(http://www.kokusen.go.jp/)では、インターネットビジネスのトラブル事例などが公開されていますし、各地のセンターの連絡先も記載されていますので参考になります。
 まず、大切なのは、不審な点があるときは不用意にビジネスに参加せずに、冷静に内容を判断することと、トラブルになったときはすぐに公の機関に相談をすることです。

全国のおもな消費生活センター
 トラブルになってしまったときは、
地元の消費生活センターに早めに相談しましょう。
消費生活センターは、ここに掲載した以外にも、
各都道府県に複数設置されています。
●北海道消費者センター TEL.011-271-0999 FAX.011-221-4210
〒060-0004 札幌市中央区北4条西7丁目 緑苑木下ビル内

●青森県消費生活センター TEL.0177-22-3343 FAX.0177-22-3414
〒030-0822 青森市中央3-20-30 県民福祉プラザ5階

●岩手県立県民生活センター TEL.019-624-2209 FAX.019-624-2790
〒020-0021 盛岡市中央通3-10-2

●宮城県消費生活センター TEL.022-261-5161 FAX.022-261-5178
〒980-0012 仙台市青葉区錦町1-1-20 宮城県婦人会館内

●秋田県総合生活文化会館生活センター TEL.018-835-0999 FAX.018-836-7808
〒010-0001 秋田市中通2-3-8

●山形県消費生浩センター TEL.0236-24-0999 FAX.0236-24-0729
〒990-0031 山形市十日町1-6-6

●福島県消費生活センター TEL.0245-21-0999 FAX.0245-21-7982
〒960-8043 福島市中町8-2 自治会館 1階

●茨城県消費生活センター TEL.029-225-6445 FAX.029-226-9156
〒310-0802 水戸市柵町1-3-1 水戸合同庁舎内

●栃木県消費生活センター TEL.028-665-7744 FAX.028-665-7740
〒320-0071 宇都宮市野沢町4-1 とちぎ女性センター内

●群馬県消費生活センター TEL.027-254-3000 FAX.027-254-3113
〒371-0843 前橋市新前橋町13-12 社会福祉総合センター7階

●埼玉県中央生活センター TEL.048-643-0999 FAX.048-640-1961
〒330-0843 大宮市吉敷町1-124-1 大宮合同庁舎3階

●干葉県消費者センター TEL.0474-34-0999 FAX.0474-31-3858

〒273-0014 船橋市高瀬町66-18 ●東京都消費生活総合センター TEL.03-3235-1155 FAX.03-3268-1505
〒162-0823 新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ15~17階

●神奈川県横浜消費生活センター TEL.045-312-1121 FAX.045-312-3506
〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 かながわ県民センター内

●新潟県消費生活センター TEL.025-285-4196 FAX.025-281-5517
〒950-0994 新潟市上所2-2-2 新潟ユニゾンプラザ1階

●山梨県消費生活センター TEL.0552-35-8455 FAX.0552-35-1077
〒400-0862 甲府市朝気1-2-2

●長野県長野消費生活センター TEL.026-223-6777 FAX.026-223-6771
〒380-0935 長野市中御所字岡田98-1

●富山県消費生活センター TEL.0764-32-9233 FAX.0764-31-2631
〒930-0805 富山市湊入船町6-7 サンフォルテ1階

●石川県生活科学センター TEL.0762-22-6110 FAX.0762-63-4343
〒920-0962 金沢市広坂1-7-1 石川県庁南分室

●福井県生活科学センター TEL.0776-22-1102 FAX.0776-22-8190
〒910-0005 福井市大手3-11-17 県民会館内

●岐阜県消費生活センター TEL.058-265-0999 FAX.058-265-0274
〒500-8803 岐阜市佐久間町4 県婦人生活会館内

●静岡県中部県行政センター TEL.054-252-2299 FAX.054-221-0273
〒420-0851 静岡市黒金町57

●愛知県消費生活センター TEL.052-962-0999 FAX.052-962-1009
〒461-0016 名古屋市東区上竪杉町1 愛知県女性総合センター内

●三重県県民生活センター TEL.059-228-2212 FAX.059-229-1505
〒514-0004 津市栄町1丁目954 三重県民サービスセンター3階

●滋賀県立消費生活センター TEL.0749-23-0999 FAX.0749-23-9030
〒522-0071彦根市元町4-1

●京都府消費生活科学センター TEL.075-821-0210 FAX.075-801-3530
〒604-8482 京都市中京区西ノ京笠殿町162

●大阪府立消費生活センター TEL.06-6344-0999 FAX.06-6348-1184
〒530-0002 大阪市北区曽根崎新地2-2-16 桜橋東洋ビル4階

●兵庫県立神戸生活科学センター TEL.078-360-0999 FAX.078-360-8536
〒650-0044 神戸市中央区東川崎町1-1-3 神戸クリスタルタワー5~6階

●奈良県生活科学センター TEL.0742-26-0931 FAX.0742-27-2686
〒630-8213 奈良市登大路町10-1

●和歌山県消費生活センター TEL.0734-33-1551 FAX.0734-33-3904
〒640-8227 和歌山市西汀丁26 県経済センタービル2階

●鳥取県立消費生活センター TEL.0859-34-2648 FAX.0859-34-2670
〒683-0043 米子市末広町74 米子市コンベンションセンター4階

●島根県消費者センター TEL.0852-32-5916 FAX.0852-32-5918
〒690-0011 松江市東津田町1741-3 いきいきプラザ島根2階

●岡山県消費生活センター TEL.086-226-0999 FAX.086-227-3715
〒700-0813 岡山市石関町2-1

●広島県立生活センター TEL.082-240-5522 FAX.082-240-5533
〒730-0036 広島市中区袋町3-17 シシンヨー東邦ビル6階

●山口県消費生活センター TEL.0839-24-2421 FAX.0839-23-3407
〒753-0821 山口市葵2丁目6-2

●徳島県立消費生活センター TEL.0886-23-0611 FAX.0886-23-0174
〒770-0902 徳島市西新町2-5 徳島経済センタービル内

●香川県中央生活センター TEL.0878-33-0999 FAX.0878-61-3291
〒760-0068 高松市松島町1-17-28 香川県高松合同庁舎内

●愛媛県生活センター TEL.089-926-2603 FAX.089-946-5539
〒791-8014 松山市山越町450番地 愛媛県女性総合センター内

●高知県立消費生活センター TEL.0888-24-0999 FAX.0888-22-5619

〒780-0935 高知市旭町3-115 こうち女性総合センター2階

●福岡県消費生活センター TEL.092-632-0999 FAX.092-632-0322
〒812-0046 福岡市博多区吉塚本町13-50 吉塚合同庁舎内

●佐賀県消費生活センター TEL.0952-24-0999 FAX.0952-24-9567
〒840-0815 佐賀市天神3-2-11 アバンセ内

●長崎県消費生活センター TEL.0958-24-0999 FAX.0958-28-1014
〒850-0057 長崎市大黒町3-1 交通産業ビル4階

●熊本県消費生活センター TEL.096-354-4835 FAX.096-354-7971
〒860-0844 熊本市水道町14-15

●大分県消費生活センター TEL.0975-34-0999 FAX.0975-34-0684
〒870-0045 大分市城崎町1-2-5

●宮崎県消費生活センター TEL.0985-25-0999 FAX.0985-38-8727
〒880-0051 宮崎市江平西2-1-20 生活情報センター3階

●鹿児島県消費生活センター TEL.099-224-0999 FAX.099-224-4997
〒892-0821 鹿児島市名山町4-3

●沖縄県県民生活センター TEL.098-863-9214 FAX.098-863-9215
〒900-0036 那覇市西3-11-1 三重城合同庁舎4階
入金がない! 請求額と違う! さあ、どうする?

 待ちに待った入金日。それなのに報酬が支払われない! 請求した金額と違う! そんな困った状況になったとき、あなたはどうしますか? 電話をかけて依頼主に直訴しますか? 金銭的なトラブルは口頭ではなく、文書化するのがベストです。

●金銭トラブルを文書化するときのポイント
 まずは「怒りたい」「疑いたい」気持ちを抑えて、「確認する」気持ちで書くことが大切です。あなたの出した請求書が届いていないのかもしれません。何か手違いがあったのかもしれません。ですから、最初から「なぜ支払ってくれないのか」と強い言い回しにせず、「確認する」「問い合わせる」という姿勢で書くようにします。今後の関係もきちんと考えて、冷静に対処しましょう。

●報酬が支払われない、請求額と支払額が違う
 期日が過ぎても請求した報酬額が支払われない場合は、確認を求める文書を発送してみましょう。速達でもよいですが、簡易書留を利用してもよいでしょう。念のために、請求書のコピーも忘れずに同封します。文書の内容は相手を責めるのではなく、こちらの現在の状況を簡潔に記載します。  支払いがない場合と同じように、支払額が請求額と違う場合も速達や簡易書留を使用して文書を発送してみましょう。請求書のコピーを同封するほかに、取り交わした発注確認書や契約書があればコピーを一緒に送ります。支払いを確認して請求額と違うのなら、迅速に行動しましょう。
 どちらの場合も、文書を発送して2週間を過ぎてもなんの返事ももらえないときには、同じ文書を再度送ります。それでも解決できないときには、「督促状」を内容証明郵便で送ることや、相手先の所轄の簡易裁判所で「支払命令」という方法をとることもできます。「内容証明郵便」は受取人を公文書によって証明する特殊郵便です。法的な問題が起こったときに、証拠として使用できます。
 このように最終手段をとらなければならない状況にしないために、業務開始時に支払い内容について打ち合わせ、必要であれば契約書などを取り交わし、また業務中も担当者と密に連絡を取り合うことが大切です。後々、必要になるかもしれない発注書や請求書は必ず保管するようにしましょう。

【体験談】
ある日、突然怪しげな電話が……
山形加奈さん(30歳・女性)/「在宅ワーク」歴…2年/(在宅ワーカーになるすぐ前の)職業…専業主婦(その前は設計)/現在の職種…CADオペレーター

 ある日、突然電話がかかってきました。

相手「在宅のお仕事をされる気はありませんか? 当社では主婦の方など、なかなか外に仕事に出づらい状況の方に1日2~3時間のお仕事で月に5万円以上のお仕事をしていただいているのですが」
私「どういう仕事ですか?」
相手「まず仕事をしていただくには資格が必要になります。商工会議所のワープロ検定をご存知ですか?クライアントからも安心して仕事を出していただくために、仕事をしていただく方には全員2級を取っていただいています。当社では独自の研修プログラムをご用意し、月々1万5000円お支払いいただいて資格を取るためのサポートをさせていただいております。とりあえずそちらに参加していただき、資格を取っていただいたうえで月に最低でも5万円はお仕事を依頼させていただきます」
私「私はワープロ検定の1級を持っているので、すぐにお仕事をいただけますか?」
相手「あっ、そうですか。もうお持ちなんですね。ですが、クライアントのほうには私どもの研修を修了したうえで資格を取った方、ということでお話ししてありまして。たいへん申し訳ないのですが一応お申し込みいただき5月の試験まで1万5000円を払っていただいて、もう一度2級を受ける必要があるんですよ。というのは、やはり在宅でのお仕事というのは相手がどんな方かわからないわけでして、企業のほうにも当社の研修を終えた方ということで信頼を得ているんです」
私「わざわざ2級を受け直さなくちゃいけないんでしょうか?」
相手「そうなんです。ですが、資格取得後は1日2~3時間のお仕事で、最低でも5万円の収入を得ることができますし(と、しつこい)、優秀な方は1年ほどしますともっとたくさんのお仕事をして、さらに高い収入を得る方もおいでになります」
私「ふーん」
相手「とりあえずパンフレットもご用意していますし、ご覧になってみてはいただけないですか?」

 翌日、宅配便でかなり立派な案内書が届きました(早い)。内容は、仕事の斡旋というよりは教育内容についての記述。それと一緒にクレジット会社の「教育ローン申込書」。その翌日、再度同じ人から電話がかかってきました。
相手「ご覧いただけましたでしょうか?」
私「拝見しました。でもこれは49万8000円の教育ローンの申込書じゃないですか?」
相手「あ、そう見えましたか? 一応クレジット会社さんに間に入っていただいているので、そういう形になるんですよ」
私「でも、先日のお電話では資格取得まで月に1万5000円支払えばよいとおっしゃっていたと思いますが」

相手「ええ。それまでは月々1万5000円の60回払いの形になさる方が多いんです。でも、収入が入るわけで、その後は大抵繰上げ返済されますね。金利がもったいないですから(と、論点をずらす)」

私「そーじゃなくて、なんで私がわざわざ借金をする必要があるんですか?」

相手「皆さん、同じようにお支払いいただいているんで、あなただけ特別にするわけにはいかないんです。とりあえずそれで申し込みしていただいて、その後資格だけお取りいただければ、それを上回る収入はあるわけです。契約書にも『資格取得後は実務依頼、業務指導、情報提供を1年間受けることができる』と明記してますし、ご本人が望まれるのなら何年でも延長できます。実際には皆さん資格を取ると就職されたりする方が多いんですよ。当社としても研修を受けてすぐにそのようなことをされると損になるので、とりあえず皆さんにお支払いいただいているわけです。あなたのように1級をお持ちの方は珍しくて、大抵の方は基礎から入られるので、どうしてもこれくらいいただかなくてはやっていけないんです」

 実際、こんなことを堂々巡りに1時間近く話したと思います。なぜ有資格者も49万8000円のローンを組まなくてはならないか、の問いには「申し込み側が信頼できるかどうかわからない。依頼する仕事の内容は名簿など企業の外に漏らされては困る情報も扱うので、秘密を漏洩される危険を防ぐ。皆、公平にするため」。  それから、「仕事を受ける気持ちさえあればこちらはそれ以上の仕事を依頼する。万が一、仕事を回さなければ消費センターに電話されて営業停止になってしまうから、そんなことはしない。うちは厚生省の認可も受けたちゃんとした会社。多くの資格取得者はその後(育児が終わったりすると)外に働きに出る。そのほうが在宅の仕事よりも給料がいいから」。

 ローンについては面白いことをいっていました。
「このローンは保証人がいらない。なぜなら、この会社そのものが保証人になるから。仕事の依頼がいかなければ払えなくなるだろうが、うちがちゃんと仕事を回すとクレジット会社も知っているので、それでOKなのだ」

 さらに、
「消費センターに電話されると困るが、そんなことはないくらい、ちゃんとやっている。新宿に事務所を構えたしっかりした会社が、そんなおかしなことするわけがない」
 ということでした。

最終的に、私は今すぐ働く気がないのでとりあえず「結構」と断わりました。こういった内容の電話にいちばんひっかかりやすいのは、やはりOAにあまり触ったことのない専業主婦なのではないかと思いました。もちろん、本当にこの会社が仕事を斡旋していないとはいいきれないのですが……。

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